松の泉さんの古酒は松の泉さんでなくては出ない味, すなわち「黙壷子」に通じる柔らか味が残っています.それが枯淡と豪気にミックスされてふくらみをつくっていて, 余韻嫋嫋.静かに飲むうちに気がついたら爽快さのうちに瓶の半分がなくなっていました. 数年前, メディアが「古蔵」を取り挙げて話題にしたあおりを受けて爆発的に売れたために原酒が枯渇してしまい終売を余儀なくされました.30年古酒だったそれを「前期古蔵」とするならば今回再発売されたのは30・10・5年古酒のブレンドなので「後期古蔵」と言ってもよいほどの違いがあるかもしれません.しかし, 長期熟成で滋味を引き出しながらじっくり成長する米焼酎なればこその実力が「古蔵」には秘められています. なお, 販売上の要請とはいえ原酒を枯渇に至らしめた経営管理はまずいことでした. 長期熟成といえば, 横須賀市の老舗の酒屋さんで飲ませていただいた芋の10年ものは, 期待に反して風味が腰砕けになってしまっていて, 齢を重ねて結晶のように艶めいてくる米焼酎と比べてただただ無惨としかいいようがありませんでした.こればかりはしかたがない原料の特性ということでしょう. 熟成していよいよ増す「古蔵」の輝きが思い返された一瞬でした.
17. Aug. 2003 |
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